「品質保証」とか「品質管理」という言葉は、最近よく耳にしますし、実際に製品を購入する際に気にしているのではないでしょうか。今回は、食べ物の品質管理に関わる人が身につけているといいなと思う知識を、私の体験をもとに紹介します。
食べ物に関わる品質管理
もし、自分が食べる食べ物に、毛髪やゴミが混入していたら、どんな気持ちになりますか。もちろん、いい気持ちになどならないと思います。むしろ、せっかく楽しく食事をしている時に、毛髪やゴミの混入なんてあったら、気分が台無しにもなりえます。
身近なことから品質管理を考える
飲食店の場合、メニューがあって、メニューには写真が一緒に載っていたりして、それを見て注文することがあるでしょう。厨房ではレシピがあって、このメニューは「どういう見た目で、どういう形であるか」ということが決まっているはずです。
「いつものが食べたい」ときに、同じ場所で同じメニューを注文しているのにも関わらず、違うものが出てきたら、「違うもの」として認識してしまいますよね。
このように、特に加工された製品は、「規格」が決まっていて、規格にあった製品を作るよう、製品の製造と品質管理を行っています。
食べ物の製造・品質管理に携わる時に身につけておきたい知識
HACCPの知識
厚生労働省のHPには、HACCPについて、次のように書かれています。
HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。
この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
HACCPは、1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式です。宇宙に持っていく食べ物が、製造時点で汚染されていたら、宇宙に出た時に大変なことになります。
HACCPの文字は、Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字からとったもので、「危害分析重要管理点」と訳されています。最近は、「ハサップ」と読む方が多いでしょう。
従来の製造品質管理が、「抜き取り」検査にて合格だったというものだとしたら、HACCPの場合は「すべてが合格かどうか、全数を各工程でチェック(モニタリング)する」といった感じです。
しかしながら、破壊試験(物理的な試験・硬度試験や崩壊試験など)を行う場合は、抜き取り検査を行っていることとなります。
この場合、抜き取った検体と同じ条件で作られたものであるから、全数がOKという考え方ができますが、「同じ条件」の「条件」の部分を的確に設定し、チェックとモニタリングをしっかりと行っている場合にのみに、そう考えることができます。
HACCPの詳細は、厚生労働省のHPに掲載されていますが、知識として落とし込むには、より柔らかい表現で解説してくれている民間の通信講座がオススメ。
GMPの知識
GMPは、Good Manufacturing Practiceの略で、適正製造規範と訳されます。
医薬品の製造を行う際は、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」という法令を遵守する必要があります。
医薬品の場合は、法律で規格基準がしっかりと定められておりますが、「健康食品」については、以前までは特にありませんでした。
そして、厚生労働省「健康食品」の安全性確保に関する検討会はその報告書(平成20年7月公表)で、事業者による自主点検結果を第三者が認証する民間主導の制度確立を提言しました。
これにより、健康食品も、「健康食品GMP」、原材料に関するものでは、「原材料GMP」という管理基準が認証という形で取り組まれるようになりました。
健康食品GMP、原材料GMPの認証機関
今のところ、健康食品に関するGMP認証機関は2機関です。
厚生労働省の通知により、認証機関として認証を出しているため、おおもとを詳しく知りたい場合は、厚生労働省HPを参照すると良いでしょう。
食品について「消費者向け」「事業者向け」など、情報提供があるため、大変参考になります。
製造・品質管理に関する知識の検定なら「品質管理検定」がオススメ
製品の品質管理は、品質管理部門が行えばいいのではなくて、製造部門も日々の作業で品質を管理していく必要があります。感情的、気分的な管理ではなく、統計学や衛生観念をもとにした考え方を基礎から学べると思うのが、品質管理検定(QC検定)です。この検定は、様々な製品の製造につながる知識について学べるので、食品部門以外の全般の品質管理に興味がある方もぜひ見てほしいものです。
健康食品に興味があるなら
健康食品管理士やサプリメントアドバイザーというものもあります。
食品の表示に関心があるなら
食品表示検定で基礎知識をつけておくのがオススメ。
管理栄養士育成過程では、食品の表示について学ぶ機会がありますが、他分野から食品業界へ入る場合は、基礎知識として持っておくとアピールスキルとして役立つでしょう。
品質管理は、事実を報告することが重要
すべては、より良い製品と、その製品を利用する愛用者のために、徹底した品質管理をすべきなのです。
そのためには、「伝える力」「文章力」が必要でしょう。語彙力は、関わる全ての人の共通認識のツールなのです。
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